のぼる　中国電力島根原発（松江市）２号機が原子力規制委員会の審査に合格したらしいけど。島根原発って、２０１０年に５００件を超える検査漏れが見つかったね。

データのねつ造

　ふゆみ　その後もデータのねつ造とか、今年の６月には、規制委から借りた機密文書をシュレッダーにかけたのに６年以上も報告していなかったことが明らかになっているよ。

　のぼる　この原発は、断層の評価が問題になった。

　ふゆみ　原発近くの宍道（しんじ）断層ね。中国電は１９９８年になるまで活断層と認めなかった。認めた後も長さの評価は当初８キロだった。でも結局、幾度も評価し直すことになって、審査合格時には３９キロまで伸びたわ。

　のぼる　安全性を値切る姿勢が露骨だよ。そんなだから審査が長引いたと言われているけれど、この評価でも近くの断層との連動を考えていないと批判されている。

　ふゆみ　それに島根原発は、全国で唯一県庁所在地に立地していて、県庁が１０キロ圏内よ。

　のぼる　避難計画を策定しなくてはいけない３０キロ圏には島根、鳥取両県で約４６万人が住んでいる。

　ふゆみ　島根、鳥取両県の周辺自治体は、事前了解権を含む立地自治体と同様の安全協定に改定するよう繰り返し要求しているけど、中国電は同意していないらしいね。

意見を言えない

　のぼる　周辺自治体は事故が起きれば避難の可能性がある地域なのに、電力会社に意見を言えないのはおかしいよ。

　ふゆみ　島根原発の１号機は廃炉作業中だけど、３号機を建設中でしょ。２号機の稼働にめどがついたら、中国電は３号機の稼働を狙うね。

　のぼる　意見公募中の第６次エネルギー基本計画案では、原発の３０年度の発電量に占める割合を「２０～２２％」にしている。その達成のためには、審査が申請された原発は運転開始から４０年を超えても動かし続ける必要があるんだ。

　ふゆみ　２号機も３０年には稼働後４０年を超えるね。原発再稼働は、再生可能エネルギー拡大の妨げにもなる。省エネと再エネを中心にしたエネルギー政策に転換しないと。

　（「しんぶん赤旗」2021年9月30日より転載）