福島県農民連は27日、東京電力福島第1原発事故による農産物被害への賠償をめぐり、個別に請求した農業者への賠償が、農協などを通じて請求した人より低く抑えられていた問題で、政府、東京電力と交渉しました。
この問題は、農民連の指摘で発覚。参加者は「まったく不公平、不正なやり方だ」とし、社会への公表、差額支払い、対象者へ周知などを求めました。
農産物被害の賠償について東電は、2019年度以降、卸売市場での価格をもとに「全国平均価格変動指数」を決め、事故前の単価に同指数をかけた「基準単価」と請求対象月の実際の単価との差額に、販売数量をかけて賠償額を算出しています。
今回、農民連の指摘で、日本ナシ、ブドウなどで、農民連の支援を受けるなど個別に請求した人の場合、農協などを通じて請求した人に比べ、指数に2倍以上の開きが生じています。
東京の参院議員会館とオンラインで、根本敬会長、佐々木健洋事務局長、ナシ生産者の阿部哲也さんらが参加。
根本会長は「事故から10年たつなか、ずっと公正な賠償を求めてきた。なぜこうなったのか明らかにするべきだ」と述べ、阿部さんは「過程もわからないやり方で加害者が計算している。不条理だ」と批判。参加者からは「このやり方を決裁したのは誰か」などの声が上がりました。
東電福島原子力補償相談室中央・団体相談グループの平澤朋部長は「誤りだった」としたものの、「指数」について誰が決めたのかは回答を拒否。一方、経済産業省担当者は「農民連の今回の申し入れ書を見て初めて知った」と答えました。
日本共産党の紙智子、岩渕友の両参院議員が同席。紙氏は「ここまでの経過と責任を明らかにするべきだ」と指摘し、岩渕氏は「この事態を招いた国の監督責任は重大だ」と述べました。
(「しんぶん赤旗」2021年9月28日より転載)