きょうの潮流

 「本気で生まれ変わらなければならない」。新潟県にある東京電力柏崎刈羽原発で判明したテロ対策の不備について原因や再発防止策をまとめた報告書を東電が原子力規制委員会に提出。あわせて会見した社長の言葉です。「生まれ変わる」を繰り返しました▼判明したのは、他人のIDカードを無断で使用して中央制御室に入り、外部からの侵入を検知する装置の故障を長期間放置していたというもの。装置が復旧しない状況は常態化していました▼そのため、規制委から運転を禁じられています。報告書の提出後は、規制委によるのべ2000時間の検査があります。報告書とあわせ第三者委員会の検証報告書も公表され、東電の原子力部門約4000人を対象にしたアンケート分析もありました▼社内状況の一端を知ることができます。同原発で閉鎖性を感じていたと回答した社員が38%に上り、東電全体や部署で安全を軽視する風土があると感じているのが約24%。正直にものを言えない風土があると感じるのは27%です▼自由記載欄の抜粋にはこんな記述もありました。「経営層に安全最優先を考えて相談しに行っても、事前の計画性が不足していると怒られ、費用が高いと怒られ…常に安全最優先で進められているか、自分でも心配になる」「安全最優先といいながら、コスト削減や工程順守が横行している」▼テロ対策にとどまらない不安が募ります。生まれ変わるというなら、何より柏崎刈羽原発の再稼働を断念することからではないか。

(「しんぶん赤旗」2021年9月27日より転載)