原発など原子力施設で働く民間人への身辺調査制度づくりを話し合う原子力規制委員会の外部専門家会議「核セキュリティに関する検討会」で、委員の櫻井敬子学習院大学教授が「子どもが難病で、非常に治療費が高額になる従業員の場合だと、割と誘惑しやすい」とのべていたことがわかりました。難病患者を家族に持つ従業員を情報漏えいの「リスクのある類型」とする暴言で、秘密保護法の人権無視の差別的側面も浮き彫りになりました。
この発言があった検討会は、秘密保護法案に盛り込まれている「適性評価制度」の“原子力施設版”づくりをすすめる会議である「核セキュリテイに関する検討会」。
今年7月に行われた2回目の検討会で櫻井氏は、「客観的にリスクのある類型というのは考えられる。機微な情報に触れるような人に対して、(情報漏えいをそそのかす側から)『この人は落としやすい』と思われる弱点を持った人間というのは客観的にある」と発言。
その上で、「子どもが難病で、非常に治寮費が高額になるようなお子さんを抱えているような従業員の場合ですと、外から見ると『その人はお金に困っているんだろう』と思うので、割と誘惑しやすい、そんな事例が外国の例などではよく挙げられています」とのべています。
櫻井氏は、こうした「リスクのある類型」の従業員を「人事配置」で排除できる仕組みづくりを検討するよう促しています。
櫻井氏は、秘密保護法案の骨格づくりを担った有識者会議でも委員を務めていました。この有識者会議をめぐっては、議事録やメモが存在しません。
委員だった櫻井氏が「適性評価」について、こうした発言をしていることは、秘密保護法案が人権を無視し、差別を当然とする発想にたったものであることを示しています。
また櫻井氏は、政府の社会保障審議会のメンバーでもあります。国の社会保障や医療制度を審議する立場の人物が、難病患者や家族を「リスクのある類型」としたことは、重大です。