日本原子力発電(原電)が敦賀原発2号機(福井県)の審査に用いる地質データを無断で書き換えた問題で、原子力規制委員会は18日、同原発の再稼働に必要な審査の中断を決定しました。
書き換えが発覚したのは、2020年2月に開かれた審査会合での規制委の指摘。敷地内のボーリング調査から得られた地質データの記述を計80カ所、書き換えや削除されたことが確認されました。規制委は原電に原因究明を指示。事務局の原子力規制庁が本店への立ち入り調査などを実施しています。
規制庁は先月、調査の中間結果で「データを処理するために必要な業務管理が適切に実施できていなかった」と指摘。このため委員から、データの信頼性に疑問があることから、審査の中断が提案されていました。
18日の定例会合で更田(ふけた)豊志委員長は「(審査資料は)基本的な科学的作法にのっとってもらわなかったら話にならない。今回はお話にならないケース」としました。地震・津波の影響などの審査を担当している石渡明委員は、書き換えが発覚した約半年前に同原発の審査資料に1000カ所以上の誤記を原電が報告していたことを指摘し、「現時点で審査会合を続けていくのは適当ではないと思う」と述べました。
規制委は、データの信頼性を確保するのに必要な体制ができるまで、審査を実施しないと決定しました。
敦賀原発2号機をめぐっては15年3月、規制委の専門家会合が原子炉直下を走る断層が、将来活動する可能性があると判断。認定されれば廃炉となります。原電は反論し同年11月、許可申請を提出し、審査が続けられてきました。
(「しんぶん赤旗」2021年8月19日より転載)