東京電力は29日、東京都内で株主総会を開きました。福島第1原発から発生する放射能汚染水の処理後の高濃度のトリチウム(3重水素)を含む汚染水(アルプス処理水)の処分について福島県などの農林水産業者や住民が参加する協議委員会設置のほか、柏崎刈羽原発(新潟県)の再稼働中止などを求める株主提案はすべて否決されました。
小早川智明社長は、柏崎刈羽原発で安全対策工事の未完了や他人のIDカードを使い中央制御室に入室するなど核物質防護の不備が起きたことについて「立地地域や社会に不安、不信を抱かせた」と陳謝し、「ざんきの念に堪えない」とも述べました。
政府が海洋放出方針を決めたアルプス処理水については、2年程度をめどに海洋放出を開始するために「技術的な検討作業を進めていく」と説明しました。
株主から「福島県漁協と『関係者の理解なしには、いかなる処分も行わない』と約束していたはずだ。納得してもらえる根拠を教えて」などの意見がありました。
総会では、会長に起用されることが決まっている、経済同友会代表幹事を務めた小林喜光氏を選出する人事が承認されました。
(「しんぶん赤旗」2021年6月30日より転載)