日英原子力協定改定議定書の承認案が6月3日の参院外交防衛委員会で、自民、公明両党などの賛成多数で可決されました。日本共産党は反対しました。
日本共産党の井上哲士議員は討論で、協定で追加される「技術」に技術援助としての指導、技能の養成などが含まれており、「日英相互の原子力関連技術の輸出入が一層進められる」と批判しました。
政府の「グリーン成長戦略」に温暖化対策として原子炉の一種である小型モジュール炉や高温ガス炉を掲げていると指摘。米国や英国、カナダなどの開発事業に参加する日本企業への支援策が明記されており、「グリーン成長の名のもとに原発を最大限活用するものだ」と強調しました。
質疑で井上氏は、原発輸出の撤退が相次いだことを指摘。東京電力福島第1原発事故を受けて安全対策費が高騰する一方、再生可能エネルギーのコストが大きく下がっていることを示し、「原発輸出を経済成長の柱に据えたこと自体が事実上破綻している」と強調しました。また、東電へ運転停止命令が出され、福島第1原発の廃炉も大幅に遅れる下での輸出について、「国内での責任も果たせず、そのような資格があるのか」と迫りました。
茂木敏充外相は「廃炉作業で得られる経験を世界と共有し、原子力の安全向上に貢献したい」と強弁しました。
(「しんぶん赤旗」2021年6月6日より転載)