東京電力柏崎刈羽原発(新潟県)でテロ対策など核物質防護上の重大な不備があった問題で原子力規制委員会は14日、同原発で核燃料を原子炉内に搬入するなどの移動を禁じる是正措置命令を出しました。規制委が不祥事を理由に実用炉に対し行政命令を出すのは初めて。
移動禁止は、追加検査を通じて「自律的な改善が見込める状態」であると認められるまでです。東電が狙っていた同原発の再稼働の時期は、見通せなくなりました。
同原発では、昨年9月に社員が他人のIDカードを無断で持ち出し中央制御室に侵入したことが判明。また、侵入防止のための設備の故障が2020年3月以降だけでも15件あり、うち10件は代替措置も「お粗末」だったため、不正な侵入が検知できない可能性がある状態が長期にわたってあったことが判明しています。
規制委は14日の定例会で、原子力規制庁に追加検査チームを設置することを決めました。規制委は、9月23日が期限の東電の報告書が提出される前から、事実関係の調査のための追加検査を開始。報告書提出後は東電の示した改善措置の状況を確認するため、延べ約2000時間とされる集中的な検査を実施します。検査で新たな問題が見つかった場合は、さらに追加検査を行います。
新たな問題が見つからなかった場合でも、検査終了には1年以上かかるとみられます。
規制委発足後、法令違反を理由とした行政命令は、2013年に日本原子力研究開発機構の高速増殖炉「もんじゅ」以来です。
(「しんぶん赤旗」2021年4月15日より転載)