日本共産党の高橋千鶴子議員は12日の衆院決算行政監視委員会で、東京電力福島第1原発事故に伴う汚染水の海洋放出について、10年たって本格操業へ踏み出す福島の漁業者の声を突きつけ、放出の撤回を迫りました。
菅義偉首相が「処分はいつまでも先送りできない」と強弁したのに対し、高橋氏は地元紙が「官製風評」と批判していると指摘。「息子に漁師を継がせてもいいか」との声を代弁しました。
「風評被害の影響を丁寧に説明する」とはぐらかす菅首相に、高橋氏は「継いでいいとの一言さえ言えないのか」と批判。「若い人が漁業に就けずに復興はありえない」と重ねて強調しました。
高橋氏が、合計約1千基あるタンク内の汚染水の放出期間をただすと、東電の文挟誠一副社長は事故前の年間放出管理基準22兆ベクレルを基本に、約40年かかることを事実上認めました。高橋氏は、40年間で汚染水の放射性物質トリチウムが減衰し、別の道が見付かる可能性も示し、「放出ありき」の姿勢を批判しました。
さらに、“海水で薄めて放出する”と言っても、トリチウムの放出量は変わらないことや、燃料デブリなど高レベル放射性廃棄物の最終処分場も決まっていないのに、その保管場所をつくるためタンクをどけようという拙速な計画をただしました。
高橋氏が、「廃炉と復興は一体」が政府方針なら「廃炉とはどういう姿か」とただすと、菅首相は「現時点で最終的な姿を描くのは困難」と答えました。高橋氏は、「ゴールが決まらず、どこまで、どのように走るのか。『40年で廃炉』がひとり歩きしている。汚染水放出も急ぐ必要はない」と強調しました。
(「しんぶん赤旗」2021年4月13日より転載)