東京電力が柏崎刈羽原発(新潟県)で侵入検知にかかわる核物質防護設備を損傷させていた問題で、原子力規制委員会は16日の臨時会で、重要度・深刻度ともに最も深刻な状態であると暫定的な評価をしました。
評価が確定した場合、規制委による追加の検査が最長で約2000時間となるなど対応が必要になります。更田豊志規制委員長は同日の会見で「きわめて早く検査が進んでも1年以上かかる」と述べ、その間は「再稼働にかかわる次のステップに進むことはない」と強調しました。
規制委によると、第三者が不法に侵入できる箇所が長期間にわたって複数ありました。東電は同原発の侵入検知に関わる設備を1月27日に損傷させ、規制委に報告。その際、他に核物質防護関連機器の故障等がないか問われ、後日複数の故障があったことを報告しました。
東電は代替措置を取ったとしていましたが、規制委は検査でそれらが不十分なものであったと判断しています。
規制委はこれらの事案について重要度・深刻度ともにそれぞれ4段階で最悪の「赤」と「SL1」と暫定評価をしました。検査制度が改定されて以降、いずれの評価も初めてです。1週間以内に東電からの意見表明がなければ、評価や対応区分が確定します。
(「しんぶん赤旗」2021年3月17日より転載)