日本共産党の志位和夫委員長が7日、反原連の「0307 原発ゼロ☆国会前集会 ―原発事故から10年・福島とともに―」で行ったスピーチは次の通りです。
みなさんこんにちは。日本共産党の志位和夫です。今日は、笠井亮衆議院議員、吉良よし子参議院議員と3人でまいりました。心からの連帯のメッセージを送ります。そして、ミサオ・レッドウルフさんをはじめとする首都圏反原発連合の9年間の頑張りに、心からのお礼を申し上げたいと思います。(拍手)
原発事故の被害は継続し、拡大し続けている
私は、先日、福島の住民や市民のみなさんとオンラインで懇談する機会がありました。原発事故は10年たっても続いている、なお拡大している、そのことをあらためて痛感しました。
東電がつくった「40年で更地にする」という廃炉のロードマップは、すでに破綻が明瞭になっています。溶け落ちた燃料デブリの取り出し方法すらわかっていないじゃないですか。1日150トンの汚染水が増え続けている。みなさん、海洋放出は絶対に許すな(「そうだ」の声)、この声を上げようではありませんか。(拍手)
福島の故郷を追われて避難されている方の数がはっきりわかりません。(福島)県は3万6000人と言っていますが、そんなものじゃない。8万人以上とも言われていますが、避難されている方の数がつかまれていない。これは国の重大な責任ではないでしょうか。(「そうだ」の声)
それから、避難指示が解除された市町村で、帰還できた方は住民の3割にすぎません。浪江町の方からこんな訴えを聞きました。「町には1700人の児童・生徒が学んでいた。しかし、いま戻っているのは小学生で25人、中学生で6人。高校は閉鎖で事実上の廃校です」。胸がつぶれる思いでお聞きしました。
支援の継続・強化、「原発ゼロ基本法案」の成立を
こうした福島の原発事故の現状は、「人類と原発は共存できない」――このことを明らかにしているのではないでしょうか。(拍手)
そして今、福島でやられていることは、避難指示の解除と一体に、福島に対する賠償や支援を打ち切ってしまうという、ほんとうにむごいやり方です。
なんでそんなことをやるかというと、理由は明瞭です。(原発)再稼働をどんどんやるためです。再稼働をするために、福島はもう終わったことにしてしまいたい。こういう勢力に負けるわけにはいかないではありませんか。(「そうだ」の声、拍手)
私たち野党は、2018年に、「原発ゼロ基本法案」を国会に提出しています。これは画期的な法案だと思います。再稼働を認めない、短期の原発の稼働も認めない、再生可能エネルギーに大転換する、本当に画期的な法案でありますが、ずっと継続審議になっています。みなさん、「ただちに審議させ成立させよう」、この声を上げようじゃありませんか。(「そうだ」の声、拍手)
一日も早く「原発ゼロの日本」をつくっていくために、ともに頑張ろうではありませんか。(拍手)
新しい市民運動、市民と野党の共闘の“生みの親”
みなさん。私は、反原連の9年間の活動に、心からの敬意を申し上げたいと思います。
反原連のみなさんが、この9年間頑張ってきた取り組みというのは、戦後かつてない新しい市民運動をこの日本でつくり上げた、これを出発させたのが反原連だと思いますが、いかがでしょうか。(「その通り」の声、拍手)
労働組合などが動員するというのではなくて、国民一人ひとりが、自らの意思で、自発的に、「政治がおかしい」と考えたときには、国会前にやってくる、官邸前にやってくる、こういう本当に自発的な、「市民が主人公」の新しい市民運動を、つくり上げてきたことは反原連のみなさんの大きな功績だと思います(拍手)。みんなでいっしょにお礼をいいたいと思います。(拍手)
そしてこの新しい市民運動は、その後、2015年、安保法制廃止の市民の運動へと広がり、市民と野党の共闘につながっていきました。野党共闘で国政選挙を3回たたかってきましたが、一歩一歩、前進しています。そういう意味で、野党共闘の“生みの親”は反原連のみなさんがつくってきた運動だと思っています(拍手)。そしてその“発祥の地”はこの国会前であり、官邸前だと思っていますが、いかがでしょうか。(「そうだ」「その通り」の声、拍手)
反原連のみなさんは、活動を休止するけれども、原発ゼロの実現までは解散せず、情報発信などさまざまな取り組みを続けると聞きました。私たちも最後まで、原発を本当にゼロにするまで、いっしょにたたかい抜く決意です。(拍手)
菅政権を倒し、「原発ゼロ」を実現する政権をつくろう
そして、「原発ゼロ」にする一番の早道は、政権交代だと思います。(「そうだ」「その通り」の声、拍手)
反原連のみなさんがこの場所からつくり上げていった共闘の流れ、市民と野党の共闘の流れを、ぜひ大きく発展させましょう。次の総選挙では、原発にしがみつく菅政権にはもうやめてもらって、政権を交代させて、新しい政権――「原発ゼロ」を実行する政権をみんなの力でつくって、その政権の力で原発を本当におしまいにしていこうではありせんか。最後までともに頑張りましょう。(大きな拍手)
(「しんぶん赤旗」2021年3月8日より転載)