「良識をもった判決だ。心に希望の光をともしてくれた」。東京電力福島第1原発事故で国の責任を認めた東京高裁判決後の報告集会で、福島県から千葉県に避難した原告や支援者は安どした気持ちを語りました。
原告の一人、南原聖寿(せいじゅ)さん(61)は南相馬市から千葉県に避難しています。「昨日は寝つけませんでした。原発事故から10年の節目の時に新たな出発となります」と喜びます。妻の園枝さん(62)も原告です。「いい判決でうれしい」とホッとした表情を見せました。
原告が求める損害からは低い損害額の認定。「被害の実相からかけはなれている」と指摘する原告もいました。瀬尾誠さん(68)は「命と健康をてんびんにかけることはできません。国の責任を認めた一歩前進だけども、完全賠償になっていません」といいます。
同様の訴訟をたたかう、いわき市民訴訟の伊東達也原告団長は「全国の原告団に希望を与えました。判決数では一進一退ですが、東京高裁で認めさせた意義は大きい」と評価します。
群馬訴訟の控訴審では不当判決が出ています。仙台高裁で原告勝利判決が出ている「生業(なりわい)を返せ、地域を返せ!」福島原発訴訟の原告団長の中島孝さんは「裁判所によって違った判断となった。不思議な感じはするが、国民が重大な関心をもって見ていることを無視できなかったのでは」と語っていました。
(「しんぶん赤旗」2021年2月20日より転載)