高浜町元助役と深い関係「吉田開発」
関西電力幹部が、高浜原発が立地する福井県高浜町の元助役から多額の金品を受け取っていた原発マネー還流疑惑で、元助役と関係が深い建設会社「吉田開発」(同町)が、国の電源立地地域対策交付金を活用した事業を6年間で計12事業、同町から受注していたことがわかりました。契約額は11億円にのぼります。経済産業省が日本共産党の笠井亮衆院議員に提出したリストで判明したもの。税金が原資の交付金も、関電幹部側に還流した形です。(「原発」取材班)
経産省がリスト 笠井議員に提出
笠井氏は11月8日の衆院経済産業委員会で吉田開発が関電から高浜原発関係の多額の工事を受注してきただけでなく、原発立地地域対策交付金事業を同町からも受注していたとして、その額を質問しました。梶山弘志経産相は、2013年からの6年間で計12事業、11億2000万円だと認めました。
笠井氏の調べでは、高浜町や経産省が公表した「交付金事業評価書」に基づく発注額は7億2000万円です。実際には公表されたものより4億円以上多く受注していました。
この質問後に、経産省が笠井氏に12事業の内訳を提出。これによると、吉田開発が高浜町から受注したのは▽中央体育館解体工事(交付金充当額1億2200万円)▽町道柿ケ渡線道路整備工事(同4億3500万円)―などです。(表)
金沢国税局の調査によると、吉田開発は森山栄治元助役(今年3月に死去)に「手数料」を提供していました。森山氏は2006年からの13年間で3億円相当を超える金品を、関電の八木誠元会長や岩根茂樹社長ら幹部に渡していました。
この交付金は、国民が電気料金に上乗せして電力会社に支払う電源開発促進税が原資です。
笠井氏は同委員会で、「政府が国策として進めてきた原発再稼働、原発推進策とまさに一体的に原発マネーが還流しているのではないかという疑惑だ」と強調。関電の原発マネー還流疑惑について関電まかせでなく、国会での徹底究明が必要だと指摘しています。
(「しんぶん赤旗」2019年11月18日より転載)