東京電力は12月13日、福島第1原発事故で未解明の点について調査、検討した結果をまとめた1回目の報告書を公表しました。今回は、事故が発生した2011年3月の1~3号機の原子炉内の状況を推定し直した結果を公表。3号機では、以前の推定よりも多くの核燃料が格納容器に落下していたことがわかったとしています。
従来の推定では、3号機の原子炉圧力容器には破損がなく、溶融燃料のほとんどは圧力容器内にとどまっていたとしていましたが、観測事実と合わない点がありました。事故発生時に注水が十分でないことなども考慮して推定した結果、格納容器に多くの核燃料が落ちていたという結果が出ました。
また報告書は、事故当初の1~3号機の消防車による注水の一部が、弁を閉じなかったことなどによって別の配管に流れたため、原子炉冷却が十分できなかった可能性を確認したとしています。
一方、1号機原子炉建屋内で出水が確認された問題では、地震によって「配管損傷による冷却材喪失事故も、非常用ディーゼル発電機の機能喪失も無かったと言える」としたほか、3号機の原子炉圧力の急低下の原因についても「原子炉圧力容器の破損によるものではなく、自動減圧系の作動による減圧であった可能性が高い」と結論づけました。
これまで、政府の事故調査・検証委員会などによって、事故原因の解明が不十分なことが明らかになっています。今回の報告書について東電は、事故の進行状況の解明に努力することは、柏崎刈羽原発での対策など「当社が原子力発電事業者として今後も継続して事業を進めていく」ためのものであると明記。同原発の再稼働を意識したものであることを示しています。