原子力規制委員会は6月12日、原発への意図的な航空機衝突などのテロ対策のための施設、特定重大事故等対処施設(特重施設)が期限以内に完成しない場合、期限満了時に炉内が約100度以下となる冷温停止状態とするため、期限前に使用停止を命令する方針を決定しました。
具体的には、期限満了の約6週間前までに特重施設が完成していない場合、規制委は、停止を命じることを前提に事業者に弁明の機会を与えることを決定。さらに1週間前までに完成していない場合、弁明書を踏まえて、停止命令を出すことを決定します。原子力規制庁は、手順を踏んで安定的に停止するために必要な期間を見込んだと説明しています。
特重施設の猶予期間は、当初は新規制基準施行から5年と定められていましたが、審査の長期化などを理由に、原発本体の具体的な設計などを定めた工事計画認可から5年に延長されています。しかし、電力会社は今年4月、これまで工事計画が認可された原発で期限が超過する見通しを示していました。規制委は、再度の期限延長はしないことにし、期限内に特重施設が完成しなかった場合の手続きを検討していました。最初に期限を迎える九州電力川内原発の場合、特重施設が完成していなければ来年3月18日午前0時には冷温停止にすることが求められます。
(「しんぶん赤旗」2019年6月13日より転載)