原子力規制委員会は5月29日、関西電力の美浜、大飯、高浜の3原発(いずれも福井県)で火山灰の厚さの想定が新規制基準に「不適合」であると認定し、再審査するための申請を今年末までに行うよう関電に命じる方針を決定しました。噴火が現時点で差し迫っている状況でないとして、直ちに運転停止は求めませんでした。命令に先立ち法律に基づく弁明の機会を6月12日まで与えることを関電に通知しました。
規制委は、関電が設置変更許可を申請してくれば、再審査で新しい火山灰の厚さなどの評価の妥当性や対策の必要性などを確認することになります。
規制委は、大山(鳥取県)の約8万年前の噴火の規模がこれまでの評価より大きくなるとする新たな知見が得られたとして関電に再評価を指示。今年3月末に関電が提出した報告書では、3原発の火山灰の厚さは21・9~13・5センチと、いずれの原発も許可時の想定10センチを上回っていました。しかし、関電は原発の運用中、評価の前提となった噴火と同規模の噴火が大山でおこる「可能性は十分低い」と主張。変更許可を申請する予定はないとしていました。
規制委は定例会合で、3原発の火山灰の最大厚さは「想定される自然現象」の設定として「明らかに不適当」であり、「想定される自然現象」に対して「安全機能を損なわない基本設計ないし基本設計方針を有するものであるといえない」と判断。新規制基準への「不適合が認められる」としました。
(「しんぶん赤旗」2019年5月30日より転載)