東京電力福島第1原発事故をめぐり、福島県などの住民が国と東電に損害賠償を求めた「生業(なりわい)を返せ、地域を返せ!」福島原発訴訟で、仙台高裁は5月27日、事実上の現地検証に当たる現地進行協議を行い、県内の帰還困難区域などを回りました。
原告弁護団によると、同種訴訟で高裁が現地進行協議を行うのは初めて。
上田哲裁判長、島田英一郎、渡邉明子両裁判官らが、紺野重秋さん=浪江町=と深谷敬子さん=富岡町=、60代女性=同=の自宅や富岡町役場、ふたば医療センター、さくらモール富岡、富岡小中学校などの被害の実態を確認しました。また、空間の線量も測定しました。
紺野さんは「地震だけならばすぐに帰れた。戻った人は千人足らずです。商売を継続することは無理です。80年生きてきて人が住めないことになってしまった。裁判官はこの苦しみを理解してほしい」と語っていました。
深谷さんは「裁判官は現実をよく見て。避難生活するということは、こういうことなのだということを見てほしいです。生の声を聞いていただきホッとしました」と話しました。
60代女性は「精いっぱい訴えました。荒れたわが家を見て、悔しい思いです。故郷をどうするのか問いたい。言葉が足りません。時計が二つあるようです。ここの時計と避難先の時計と。ここに来るとショックです」と述べました。
(「しんぶん赤旗」2019年5月28日より転載)