目前に迫った参院選で、市民と野党の共闘の勝利と、日本共産党の躍進を勝ち取ろうと、党福島県委員会は5月25日、同県郡山市のユラックス熱海で、志位和夫委員長を迎えて演説会を開きました。統一地方選後、野党統一候補を迎えた全国ではじめての演説会で、志位氏が「比例代表で日本共産党を広げに広げ、紙智子参院議員をはじめ7人以上の当選と、福島選挙区で野党統一の水野さちこ候補の勝利を必ず勝ち取り、希望と安心の日本をつくり、『原発ゼロ』の日本を福島から実現しよう」と訴え。紙議員、水野候補、国民民主党県連代表の増子輝彦参院議員、志位氏らが壇上に並んで手を結ぶと、詰めかけた聴衆の大きな拍手と歓声が響きわたりました。
紙議員は「食料主権を売り渡す“亡国の農政”を転換し、食料自給率の向上、価格保障、所得補償を実現し、希望をもって農業を営めるようにする」と表明。水野候補は「共産党が勇気ある決断をしてくれたことに感謝します。国民生活を向上させ、平和を守らないといけない。安倍政権にノーを突きつけ、福島から日本を変えましょう」と訴えました。
福島選挙区候補を辞退した野口てつろう党県書記長が、日本共産党の比例での躍進と、水野候補の勝利のために全力をつくすと表明しました。
6月から実施される地方選の候補者が紹介され、神山えつこ県議が決意表明しました。
志位氏は、「消費税10%増税中止 くらしに希望を―三つの提案」を縦横に語りました。この中で、最低賃金について「肝は全国一律の制度にすることです」と強調。最低賃金は時給で東京の985円に対し、福島は772円と213円の格差があり、年収では43万円も違うと指摘。地方から労働力を流出させ、地方を疲弊させる原因になっていると述べ、「全国一律最賃こそ、地域経済を元気にする決定打です」と訴えました。
また志位氏は、安倍政権の7年間で、年金が実質6・1%もマイナスになったと告発。年金削減の仕組みである「マクロ経済スライド」を廃止し、「減らない年金」にするとともに、消費税とは別の財源で、月6・5万円以下の低年金者全員に月5千円、年間6万円を現在の年金に上乗せして給付し、本当の「底上げ」を実施すると述べました。
志位氏は、経済評論家の内橋克人氏が「三つの提案」について「核心をついた、かつ実現可能な、優れた政策提言だと思います」「野党間で『提案』を共通認識にし、共同目標となることを期待しています」と語っていることを紹介し、「そのために大いに努力したい」と表明しました。
原発問題に話を進めた志位氏は、「三つの大問題を福島県民と力を合わせて取り組んでいきたい」と語りました。
第一は、被災者の生活と被災地の復興です。志位氏は、「原発事故の避難者は現在の数字では4万人余りとされています。3年前には17万人でした。問題が解決する途上にあるのでしょうか」と問いかけ、深刻な実態を告発しました。
志位氏は、避難指示が解除された地域で、戻られた方は住民全体では25%、小中学生では10%にすぎないと指摘。生活条件が整わず、除染も不十分なため、「多くの人が帰りたくても帰れない状況に置かれています」とのべ、「避難指示の解除を口実に、安倍政権が避難者への住宅支援を打ち切り、東京電力が一方的に賠償の打ち切りをすすめていることは許せない」と厳しく批判。「被災者支援は、一切の線引きや排除、切り捨てを行わず、すべての被災者が生活と生業(なりわい)を再建できるまで、国と東電が責任をもって等しく支援することを強く要求し、頑張り抜く」と表明しました。
第二が、福島第2原発廃炉の問題です。県民の世論と運動で、県内原発の全基廃炉は文字通り「オール福島」の声になりました。この声に押され、東電社長は昨年6月、県庁を訪れ、福島第2原発の「廃炉」に言及したものの、いまなお正式な廃炉の決断を表明していません。
志位氏は、県民世論調査で、廃炉に向けて「国がより前面に立ち、東電への働きかけを強めるべき」が44・8%に達していると強調。日本共産党の岩渕友参院議員の国会での追及に対して、「廃炉は東電が決めること」との立場で、廃炉の「要請」しかいわない安倍政権の態度を厳しく批判。「国策で原発を押し付け、ああいう大事故を起こした以上、廃炉は国が政治決断すべきことではないでしょうか。それができないというなら、安倍政権にお引き取りいただこう。『福島原発全基廃炉』を実現しよう」とよびかけました。
第三が、「原発ゼロの日本」です。志位氏は「安倍政権の原発にしがみつく政治はいよいよ現実性を失い、未来がないことが明らかになっています」として、「成長戦略」の目玉に位置づけた「原発輸出」が失敗し、「原発低コスト」論を、資源エネルギー庁の資料により、政府自ら否定したと指摘しました。
福島第1原発の事故処理費用はすでに10兆円を超え、原発再稼働のための「安全対策費」は11社で4・6兆円にもなり、電気料金などを通じて、国民負担にされようとしていると批判。「原発こそ究極の高コストです。もはや原発はビジネスとしても成り立ちません」と強調しました。
世界の流れは、再生可能エネルギー・脱炭素だとして、「福島から『原発ゼロの日本』『再生可能エネルギーへの大転換』の声をあげよう」とよびかけました。
志位氏は、「平和」の問題で、安倍9条改憲は許さず、9条を生かした平和外交の方向を縦横に語りました。「民主主義」の問題では、「あらゆる差別を許さず、誰もが尊厳をもって自分らしく生きられる社会を」と語りました。
志位氏は、「これを実現する希望は市民と野党の共闘にあります」と語り、来週開かれる予定の野党党首会談で、32の1人区すべてでの野党統一候補の合意をめざすと報告。「野党候補の一本化はスタートです。『みんなで応援して勝利をめざす』『共通政策をしっかりつくる』。これをやりきり『本気の共闘』に発展させ、自民・公明とその補完勢力―維新の会を少数に追い込もう」と訴え。日本の政治をよくするうえでも、市民と野党の共闘を発展させるためにも、共産党が力を伸ばすことが決定的だとして、「比例は共産党」を広げに広げてほしいとよびかけ、共闘勝利と共産躍進で「希望と安心の日本をつくろう」と訴えると、大きな拍手と歓声が湧き起こりました。
増子参院議員があいさつし、ふくしま市市民連合の根本仁共同代表と立憲民主党県連の高橋秀樹幹事長が来賓あいさつ。金子恵美衆院議員、国民民主党の小熊慎司衆院議員、社民党県連会長の紺野長人県議のメッセージが紹介されました。
(「しんぶん赤旗」2019年5月26日より転載)