2年前(2011年)の今日(12月16日)、当時の民主党政権の野田佳彦首相は、東京電力福島原発事故の「収束宣言」をおこないました。それから2年たった現実は、事故の「収束宣言」がまったくの誤りであったことを示しています。
被害は拡大している
あのとき野田首相は、「万一何らかのトラブルが生じても敷地外の放射線量が十分低く保たれる」とのべ、「発電所の事故そのものは収束に至ったと判断をされる」と宣言しました。しかし事故は収束するどころか、放射能汚染水が日々増え続け、海洋に流出しています。汚染水の管理に失敗すれば、大量の放射性物質の流出につながりかねない危機的状況にあります。
その後政権に復帰した自民・公明連立の安倍晋三首相はそうした事態に対して、汚染水は「コントロールされている」「ブロックされている」と言い張っています。汚染水がますます深刻な事態になっているにもかかわらず、安倍首相が本部長の原子力災害対策本部はことし9月3日以降一度も開かれていません。国が全責任をもって、英知と総力を結集して汚染水の危機にあたるべきときに、政府の態度は無責任きわまるものです。
原発事故による被害はいまだに拡大しています。福島県で避難を強いられている地域の面積は、東京都や大阪府の5、6割にあたる1150平方キロメートルにもなります。原発事故被害にたいする復興住宅は手がけられておらず、14万人余の方々がいまだに避難生活を強いられています。こうした原発事故と被害の拡大の現実は、原発と人類が共存できないことを示しています。政府に求められるのは、「即時原発ゼロ」の政治決断です。
ところが安倍政権は、福島原発事故の反省もなく、原発再稼働と輸出に奔走しています。経済産業省の総合エネルギー調査会がまとめた新しい「エネルギー基本計画」にたいする意見は、原発を「基盤となる重要なベース電源」と位置づけ、「必要とされる規模を確保する」と原発に固執し、「再稼働を進める」と明記しました。安倍政権は、これを来年1月にも閣議決定し、その後、原発再稼働への「決断」をくだそうとしています。
こうした安倍政権の再稼働への暴走は国民世論に逆行するものであり、絶対に認められるものではありません。原発事故以降、国民的な議論がすすみ、政府もいったんは「原発ゼロ」が民意であることを認めました。この民意はたとえ政権が代わっても、変わるものではありません。参議院選挙後のどの世論調査でも、再稼働反対が多数となっています。
国民の意思は変わらない
安倍政権は、国民的議論を経た「原発ゼロ」の民意を踏みにじり、密室で勝手に変更しようとしています。しかし、原発を活用する理由は、「優れた安定供給性」、「運転コストが低廉」などという、すでに破たんしたものしか持ち出すことができず、なんらの説得力もありません。
毎週金曜日夜の首相官邸前行動をはじめ、全国で再稼働反対、「原発ゼロ」の声は続き、数カ月に1度、数万の人々が集まる大規模な集会が行われています。
22日にはふたたび「再稼働反対☆国会大包囲」が行われます。日本共産党は国民と共同し「原発ゼロの日本」をめざす決意です。