再稼働させないこと 現実的な避難計画
水戸市で開かれた「東海第2原発再稼働STOP!茨城県大集会」(1日)で、桜井勝延さん(前・南相馬市長)が福島からの報告に立ち、要旨次のように訴えました。
東日本大震災前の2010年1月から今年1月まで南相馬市の市長をつとめていました。大震災と福島第1原発事故が同時に起こるとは想定していませんでした。
津波で多くの犠牲者を出しました。捜索・救助活動の最中に原発の爆発事故が起きたのです。当時、何が起きたのか、東京電力からは連絡がありませんでした。やがてバリケードが設置されて、ガソリンなどの物資も入らなくなり、住民が棄民化された状態になりました。
酪農家や養豚農家は自宅に入ることさえ許されず、えさをもらえなくなった牛や豚は次々に死んでゆきました。自殺に追い込まれた農家もありました。
「(推進勢力は)原発はクリーンで、安全で安いエネルギー」などと言っていましたが、その現実は人の命を危うくし、環境も汚染し、最も高くつくエネルギーだったことが明らかになったではありませんか。
安倍晋三総理は「アンダーコントロールだ。250キロ離れているから東京は安全だ」とオリンピックを誘致しましたが、市民らは「(東京から)250キロ離れている、ここは危険だということか」と話していました。南相馬市から住所を移した人は1万人を超えました。その大半は60代以下です。子育て世代です。働き手が足りません。
汚染水の放流問題もあります。
東海第2原発が再稼働されようとしています。最も古い原発をまだ使い回そうというのです。再稼働させてはなりません。現実的な避難計画は再稼働させないことです。再稼働させたら、必ず事故が起きます。
避難者の人権が尊重されない、健康で文化的な生活を営む権利が保障されないという現実をみたときに、ぜひ読んでほしいと(現職市長だった)2年前の5月、「日本国憲法」を全世帯に配布しました。今守らなければならないのは日本国憲法です。私は日本の子どもたちに安心できる未来をつくりたい―。この国は敗戦を機に、世界に冠たるやすらぎの国にしたいと日本国憲法をつくったわけです。原発なんかいらない、再稼働しなくてもいい、そういう日本にしていこうではありませんか。
福島の現実を知っていただき、一人ひとりが自分の意思をはっきり持って、この国、自分の家族や地域を自分たちの力で守っていくことを決意しようではありませんか。
(「しんぶん赤旗」2018年9月9日より転載)