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原発講演に国が圧力・・北海道経産局 問題点指摘の内容 変更迫る/ニセコ町の高校行事で

 北海道ニセコ町立ニセコ高校で昨年10月、北海道大学助教がエネルギーについて講演した際に、経済産業省北海道経済産業局の幹部らが、原発の問題点を指摘する記述の変更を事前に求めていたことが5日、関係者への取材で分かりました。町民や日本共産党町議は「教育への不当介入だ」と批判しています。

 講演は昨年10月16日に、北海道大学大学院工学研究院の山形定(さだむ)助教が「ニセコでエネルギーと環境を考える」と題して行ったもの。同高は、同省資源エネルギー庁が助成する公益法人から「エネルギー教育モデル校」に選ばれており、講演はその一環でした。山形氏は同町のバイオマス発電の調査に関わった経験があり、町が学校に紹介したといいます。

 山形氏によれば、事前に高校に講演資料を送ったところ、経産局の部長と課長が研究室を訪問。原発のコストの高さを説明する資料に「これは一つの見方で、違う計算を出しているところもある」などと指摘し、東京電力福島第1原発の水素爆発時の写真を掲載した資料には「印象操作だ」などと変更を迫ったといいます。

 山形氏は「(写真は)事実ですからと答えると、『事故が起きるのは原発だけじゃないですよね』」と言われたと話します。

(写真)北海道経産局が「印象操作だ」と変更を求めたスライド資料の一部。変更前(右)と変更後(左)=山形定助教提供

 「風力発電でも事故があるというので写真を追加したが、原発の写真の削除は断った。壊れた後、どのような状態になるか(原発とその他の電力は)次元が違うと講演では説明した」といい、「高校の現場で使う資料にそうした要求が来ることは、やはり問題。もし私が写真を削除していたら、高校生たちはそういうものとして受け取る。彼らが一番不利益を被る」と指摘しました。

 ニセコ高校の馬場登校長は講演について、「分かりやすく、よい内容だった。生徒もきちんと理解できたと思う」と話しています。

 ニセコ町は、北海道電力泊原発(泊村)から30キロメートル圏内の緊急時防護措置準備区域(UPZ)にあります。

「教育への干渉」 共産党町議指摘

 ニセコ町は昨年12月から3月まで、こうした経緯を知った住民の要求を受け、3回の住民説明会を実施。町長が経緯を説明し、3月の説明会では教育長が「重要な問題を含んでいる」と言明しています。

 この問題について町議会で追及した日本共産党の三谷典久町議は「修正を求められたのは原発事故と原発そのもののあり方を問う資料で、原発の真の姿を伝えないよう求めた圧力だ」と批判。「先生の専門性に基づく自由な教育の侵害であり、子どもの学習権の侵害するもので、国による町の教育に対する干渉にほかならない」と語りました。

(「しんぶん赤旗」2018年4月7日より転載)