個人や団体でつくる「原発ゼロ・自然エネルギー推進連盟」(原自連、会長=吉原毅・城南信用金庫顧問)が1月10日、国会内で、全ての原子力発電の廃止及び自然エネルギーへの全面転換の促進に関する基本法案骨子を発表しました。原発の即時廃止を求める内容です。原自連は会見後、各党を訪問し同法案について懇談。日本共産党は小池晃書記局長、穀田恵二国対委員長が応対しました。
会見には、吉原会長のほか、原自連顧問の小泉純一郎、細川護熙の両元首相、幹事長の河合弘之弁護士が出席しました。
同法案は「基本理念」で、原発は東京電力福島第1原発事故によって「極めて危険かつ高コストで、国民に過大な負担を負わせることが明らかになった」と指摘し、「全ての原発は即時廃止する」と明記。「新たな産業と雇用を創出する成長戦略の柱として」自然エネルギーへの全面的転換を掲げています。
基本方針として、運転中の原発は直ちに停止することをはじめ、停止中の原発を今後一切稼働させないこと、太陽光など自然エネルギーを最大限に導入し、2050年までに全ての電力を自然エネルギーで賄う目標を掲げています。
会見で小泉氏は「安倍政権で原発ゼロを進める期待はできない。しかし、いずれ必ず原発ゼロは国民多数の賛同で実現すると思っている」と発言。さらに「どの政党であれ、原発ゼロ、自然エネルギー推進に全力で取り組むのならわれわれは協力していく」と述べました。
原自連との懇談で小池氏は、「われわれとしても大歓迎したい。ぜひ法案としてまとめる努力をしていきたい」と応じました。
原発ゼロ・自然エネ基本法案要旨
原発ゼロ・自然エネルギー基本法案の要旨は次の通り。
第一 目的
この法律は、全ての原子力発電の廃止及び自然エネルギーへの全面転換の促進に関する基本的な理念及び方針を明らかにし、国等の責務及び推進体制等を定め、もって、わが国エネルギー構造の転換を実現することを目的とする。
第三 基本方針
一 運転されている原子力発電所は直ちに停止する。
二 運転を停止している原子力発電所は、今後一切稼働させない。
三 運転を停止した原子力発電所の具体的な廃炉計画を策定する。
四 原子力発電所の新増設は認めない。
五 使用済み核燃料の中間貯蔵及び最終処分に関し、確実かつ安全な抜本的計画を国の責任において策定し、官民あげて実施する。
六 核燃料サイクル事業から撤退し、再処理工場等の施設は廃止する。
七 わが国は、原子力発電事業の輸出を中止し、人類の平和と安全のため、かつての戦争被爆及び原子力発電所重大事故の当事国として、地球上の原子力発電全廃の必要性を世界に向けて発信する。
八 急速に進んでいる省エネルギーをさらに徹底させる。
九 太陽光、風力、水力、地熱、バイオマス等の自然エネルギーを最大限かつ可及的速やかに導入する。自然エネルギーの電力比率目標は、2030年までに50%以上、2050年までに100%とする。
十 地域経済の再生のため、各地域におけるエネルギーの地産地消による分散型エネルギー社会の形成を推進する。
原自連“原発ゼロ切望”・・小池氏“積極的な中身”
日本共産党の小池晃書記局長と穀田恵二国対委員長は10日、国会内で、小泉純一郎、細川護熙両元首相らが顧問を務める原発ゼロ・自然エネルギー推進連盟(原自連、会長・吉原毅城南信用金庫顧問)がまとめた「原発ゼロ・自然エネルギー基本法案」の国会提出に向けた要請を受けました。
原自連の近江屋信広氏(元衆院議員)は法案を手渡し、「超党派で法案を国会に出して成立させ、原発ゼロ・自然エネルギー立国が実現できればと切望している」と協力を求めました。吉岡達也氏(ピースボート共同代表)が同席しました。
小池氏は「東京電力福島第1原発事故の反省を踏まえ、即時廃止という明確な方向を打ち出されていると思う。運転されている原発は停止するし、今停止している原発は今後一切稼働させない。非常に明確、積極的な中身だ。再生可能エネルギーへの転換、廃炉に向けたさまざまな手だても法案化されている」と法案の内容を歓迎しました。
穀田氏は「特に共同の場をつくってオープンに議論をしたらいいと思う。各党が一堂に会すことも含めて、どこが意見が違うのか、お互いの哲学も披歴したらどうか」と提案。また、「どの世論調査を見ても再稼働反対が過半数だ」として、超党派で一致する条件があると述べました。
(「しんぶん赤旗」2018年1月11日より転載)