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ドイツ南部 原発が閉鎖・・22年全基停止へ残りは「7」

 【グンドレミンゲン(独バイエルン州)=伊藤寿庸】2022年の全原発停止を決めているドイツで12月31日、南部バイエルン州のグンドレミンゲン原発B原子炉が稼働を停止しました。21年までの操業を認められている同原発のC原子炉を含め、残る原発は全土で7基となりました。


 この日、同原発は、正午に電力網から遮断され、その後制御棒を抜いてB原子炉の運転を停止しました。B原子炉はC原子炉とともに1984年に稼働を開始。二つの原子炉は各134万4000キロワットで、グンドレミンゲン原発は発電量ではドイツ最大でした。

 同じ時刻に正門前では、市民70人が「C原子炉も直ちに閉鎖を」と集会を開きました。この日は、緑の党の連邦議会議員や地元や隣の州議会議員も参加して、早期の原発撤退を求めました。

 福島県の原発被災地を訪ねたことのあるハンスベルナー・チュルクさん(69)=ミュンヘン在住=は、「(全原発停止に向けた)最終的勝利への一歩前進だ」と語ります。

 40キロ離れたノイウルム市から自転車でやってきたワルター・ラートケさん(68)は、「原子炉の閉鎖はとてもうれしいし、歴史的だ。原発は(閉鎖後も)数十万年以上危険が続く。人類の最大の誤りだと思っている」。

 マルギット・シュトゥンプ連邦議会議員(緑の党)は、「C原子炉を一刻も早く停止すべきだ。この原発は福島で事故を起こしたのと同じ沸騰水型で、ドイツで最も危険な原発だ」と危険性を訴えました。

(写真)グンドレミンゲン原発B原子炉の停止に合わせて門前で集会を開き、「(原子炉)BもCも停止を」と訴える反原発団体の人たち=2017年12月31日、独バイエルン州グンドレミンゲン(伊藤寿庸撮影)

解説

廃炉へ着実な一歩 放射性廃棄物など問題山積

 ドイツには、2011年3月の福島第1原発事故の時点で17基の原発がありました。事故を受けて、同年に「原発は危険すぎる」として22年までの原発全廃を政治決定しました。8基を即時停止し、15年6月に1基が稼働停止。今回のグンドレミンゲン原発B原子炉の停止で10基減となります。今後は、19年1基、21年3基、22年3基を順次停止していきます。全原発の稼働停止から廃炉への長い過程の着実な歩がまた記されました。

 ミュンヘンから約110キロ北西のドナウ川沿いにあるグンドレミンゲン原発は、1966年にドイツ最初の商業用原発として出発。しかしこのA原子炉は77年の大事故後そのまま廃炉が決まり、解体作業が続いています。B原子炉も今後長期にわたる廃炉プロセスに入ります。

 地元グループは、旧ソ連のチェルノブイリ事故から3年目の1989年4月26日から毎週日曜日に、原発停止を求めてデモを続けてきました。

 90年代以来、反原発団体は、使用済み核燃料の積み出し、ウランとプルトニウムの混合燃料(MOX)の導入、同原発敷地内の中間貯蔵施設建設などに対して司法にも訴えて反対してきました。原発停止は粘り強い運動の成果でもあります。

 しかし同中間貯蔵施設には使用済み燃料棒52本~69本を収納するケース55がすでに置かれています(上限192個)。C原子炉の稼働によって毎日75キロの高レベル放射性廃棄物が生じ続けます。この中には毎日0・7キロのプルトニウムが含まれています。

 そのため反原発団体は一日も早いC原子炉停止を求めています。(グンドレミンゲン=伊藤寿庸)

(「しんぶん赤旗」2018年1月3日より転載)