動力炉・核燃料開発事業団(動燃、現・日本原子力研究開発機構)の高速増殖炉「もんじゅ」のナトリウム漏れ事故(1995年)の対応に当たっていた職員の遺族が、遺品の返還などを求めて、警視庁と東京都を相手取った訴訟の控訴審判決が9月13日、東京高裁(永野厚郎裁判長)で言い渡され、原告側の控訴を棄却しました。
この裁判は、96年1月、総務部次長として事故現場のビデオ映像隠し問題の対応に追われていた西村成生さん=当時(49)=がホテルで自殺したと警察が発表したことをめぐって、妻トシ子さん(71)が「不審な点が多く、死の真実を明らかにしたい」と遺品の返還を求めたもの。遺品には、ホテルで受けた動燃からのファクスも含まれます。
判決では、西村さんの死に事件性がないと判断した警察は、捜査のためにホテル室内の物品を押収、保管していないとし、請求を棄却しました。
判決後の記者会見でトシ子さんは、「夫の死をうやむやにすることは、国の核燃料サイクル政策で多くの人々が危険にさらされることだ」と語りました。
一審東京地裁は3月、原告側の請求を棄却。原告側が控訴していました。
(「しんぶん赤旗」2017年9月14日より転載)