東京電力福島第1原発事故の緊急作業で高汚染水被ばく事故により健康不安にさらされている元原発作業員の男性(47)が、所属会社と元請け企業の関電工(東電子会社)に対し労働安全衛生法などに違反するとして刑事告発した問題で、福島地検は不起訴処分にしたことが1月12日、関係者への取材で分かりました。男性は、元請けなどを相手取り、精神的苦痛に対する慰謝料などの損害賠償請求訴訟を準備しています。
男性によると、昨年(2013年)12月20日付で福島地検から「不起訴」処分したとする通知が今月9日に郵送されてきました。
男性は、いわき市の東電関連会社(2次下請け)に所属(当時)。2011年3月24日、3号機の原子炉タービン建屋で電源ケーブルを敷設する緊急作業などで約11ミリシーベルトを被ばくしました。関電工は現場の放射線測定、建屋内にたまっていた汚染水の状況を確認せずに作業を開始し、線量計の警報音を無視して作業を継続させました。
男性は12年11月、労働安全衛生法及び電離放射線障害防止規則に違反するとして関電工、所属会社を刑事告発しました。
弁護団によると、検察は、緊急作業時の被ばく限度の線量が250ミリシーベルトで、男性の被ばくは限度未満で作業内容に違反は認められない、と判断したとしています。
男性は「不起訴は納得できない」と悔しさをにじませます。男性は危険性を察知して汚染水の中での作業を拒否。しかし汚染水につかって作業をした同僚作業員は最大で約180ミリシーベルトを被ばく、健康不安を訴えているといいます。
男性は「不起訴はまるで臭いものにはふたをするような判断だ。これをこじ開けなければ作業員は救われない」と、損害賠償請求を準備しています。