原子力規制委員会は7月10日、東京電力の川村隆会長、小早川智明社長ら新経営陣を呼び、事故を起こした福島第1原発(福島県)の廃炉の問題や東電が再稼働を急ぐ柏崎刈羽原発(新潟県)の安全確保への姿勢をただしました。
川村会長は、規制委の田中俊一委員長から福島の責任をどう理解しているのかと問われ、賠償や廃炉に言及しつつ「根源的責任として、今後の原子力の活用に関して大変な不安を国民と世界に与えた」と発言。「原子力なしでは、この後やっていけないというところを東京電力が示していくことが非常に大事と思っております」などと答え、原発推進を明言しました。
また、田中委員長は「東電に主体性がさっぱり見えず、危機感がある」などと指摘。福島第1原発で発生する汚染水を多核種除去装置などで、トリチウム(3重水素)以外の核種を大幅に取り除いた処理済み水の問題で、海洋への放出を求めました。
処理済み水をためるタンクについて、川村会長は「スペースはあと2年分ぐらい」と説明。規制委の更田豊志委員長代理は「今、放流を決断しても準備が整うまで2年以上かかると説明を受けている。そうであるなら、今からタンクの増設を」と迫りました。小早川社長は「後日、答えさせてください」と述べるにとどまりました。
田中委員長は、「きょうは疑問を解消しようとしたが残念ながら納得できない」と述べ、文書の形で東電の基本的考え方を示すことを求めました。
(「しんぶん」赤旗2017年7月11日より転載)
原発事故除染の業者偽装問題・・福島市が返還請求
監査請求は却下
東京電力福島第1原発事故に伴う除染事業で、福島市の山林除染をした業者が工事単価が10倍高い竹林で作業を行ったと偽装した問題で市監査委員は、過剰請求分1200万円を元請けの共同企業体(JV)に返還させるよう市に求めた同市の男性の住民監査請求を却下しました。7月9日に福島県庁内で記者会見した代理人の馬奈木厳太郎弁護士が明らかにしました。
市は、JVに対して新たに判明した分を含め約2500万円の返還請求をしたことを6日に発表しています。
監査委は、このことをあげて、「(返還請求は)すでに実行されているため、却下する」としました。
同時に監査委は「違法または不当な公金の支出であり、市は速やかに返還請求を行うべきと判断する」と、市の対応の遅さを指摘しました。
監査請求した熊坂修一さん(65)の代理人である馬奈木弁護士は「請求は却下されたが、目的は達成された」と評価。「まだまだ他にも(不正は)あると思われるので、住んでいる人の目線で復興を考えていきたい」と語りました。
(「しんぶん」赤旗2017年7月11日より転載)