日本原子力研究開発機構は、1万点を超える機器の点検漏れが発覚した高速増殖炉「もんじゅ」で、原子力規制委員会の指摘を受けて見直した、機器の保全計画の確認作業が終わっていないにもかかわらず、見直しが「完了した」と規制委に報告していたことが分かりました。1月15日の規制委の定例会で報告されました。
もんじゅでは、2012年11月、多数の機器の点検漏れが発覚。規制委は昨年(2013年)5月、原子力機構に対して保守管理体制などの改善を行うまで、運転再開に向けた準備作業を進めないよう命令しました。
原子力機構は昨年11月19日、この命令を受けて、「保全計画の見直し等の措置が完了した」と規制委に報告しました。これを受けて事務局の規制庁は同12月、保安検査を実施しました。
ところが、報告のあった時点で原子力機構が保全計画の確認作業中だったこと、原子力機構が保全計画に約760件の不適合を把握していたことが分かりました。また、規制庁が約170機器の確認を実施した結果、保全計画に適切に登録されていない事例などが別に確認されました。規制委はこうした事実から、原子力機構の保守管理体制の再構築は「いまだ不十分」と指摘しました。
出席した委員からは「納得いかない。現場の人は(『完了した』との報告との)矛盾を感じなかったのか」との声が上がりました。田中俊一委員長は「なぜ、あわてて報告したのか」と述べ、規制庁に、全容の把握などを指示しました。
原子力機構が把握した保全計画の不適合は、その後さらに増え、先週末で804件となっています。