1986年に旧ソ連(現ウクライナ)で発生したチェルノブイリ原発事故についての講演会が5月13日、福井市の福井大文京キャンパスで開かれた。昨秋(2016年秋)に現地を視察した原発問題住民運動県連絡会の山本雅彦さん(敦賀市)が、現地住民の健康問題など事故の影響を報告した。
日本科学者会議福井支部が企画。山本さんは同支部メンバーで、「原発問題住民運動全国連絡センター」などが行った現地調査団に参加した。
山本さんは、事故を起こしたプラントでの対策工事や、ゴーストタウン化した街の様子などを写真で紹介。現地の医師らに聞き取った結果として「被ばくした人から生まれた子どもは、甲状腺の病気の発生率が高いようだ」などと被害の深刻さを語った。
ウクライナ政府が事故を起こしたプラント以外の原発を再稼働させる方針を示している中で「現地では(ほとんど)反対運動がなかったのでびっくりした」と指摘。日本国内の原発再稼働に反対する運動に携わる立場から「住民の反対運動が弱まれば、再稼働が進んでしまう。運動を強めなければいけないと思った」と述べた。
(桂知之)
(「福井新聞」2017年5月14日より転載)