原発から出る使用済み核燃料や、再処理の際に発生する高レベル放射性廃棄物、いわゆる「核のゴミ」。その扱いは「トイレなきマンション」といわれる難問です。先日、政府などが主催する説明会がありました
高レベル放射性廃棄物はガラスと混ぜて固化します。10万年程度の隔離が必要で、政府は地下300メートルより深い地層に埋める地層処分を採用しています。すでに使用済み核燃料は各地の原発敷地内などに約1万8000トンにも。ガラスと混ぜた固化体にすれば約2万5000本に相当します。
説明会では会場の参加者と政府の担当者との間で、こんな質疑応答が。
高レベル放射性廃棄物の処分量を決めて事業を始めるべきであり、「どれだけ増えてもいいというのでは信用ない」と参加者。政府の担当者は、広い地下空間を確保することは可能だといい、次のように答えました。「原発の将来の利用のあり方とは関係しない」。それが決まらないと処分地選定を議論できないのなら、「現世代として将来世代に対する責任を果たせない」と。
原発政策と切り離し、「現世代の責任」を云々(うんぬん)するのはまやかしでしかありません。関西電力が今週にも高浜原発4号機を再稼働させるといいます。100万キロワットの原発を1年間動かせば、核のゴミはガラス固化体で30本近く発生するのです。
現世代の責任というなら、なにより福島原発事故の教訓をくみつくし、生かすことです。再稼働に反対する国民多数の声に耳を傾けてこそ、それが果たせるのでは。
(「しんぶん赤旗」2017年5月16日より転載)