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インドに原発輸出 世界に悪いメッセージ・・「核実験を正当化」/日印原子力協定 衆院委で参考人

意見を述べる(左から)浅田正彦、鈴木達治郎、福永正明の各氏。右端は質問する笠井亮議員=4月28日、衆院外務委

 インドヘの原発輸出を可能にする日印原子力協定承認案について4月28日、衆院外務委員会で参考人質疑が行われました。参考人からは国際社会に及ぼす悪影響やインドの核実験に対する明確な歯止めがない点などが次々と指摘され、協定の問題点が改めて浮き彫りになりました。

 協定は安倍晋三首相とインドのモディ首相が昨年11月に合意。日本側の背景には、「成長戦略」と称して各国に原発を輸出しようという安倍政権の政策があります。過去2度の核実験を強行し、核不拡散条約(NPT)、包括的核実験禁止条約(CTBT)のいずれも批准していないインドに原発や核物質を輸出することで、核兵器の開発を手助けする可能性があります。

 参考人として意見陳述した岐阜女子大の福永正明・南アジア研究センター客員教授は、インドに対し核・原子力協力を行うことは「これまでのインドの核実験・核保有が正当であるかのように認めることになる」と指摘しました。

 長崎大の鈴木達治郎・核兵器廃絶研究センター長・教授は、北朝鮮の核開発が大きな問題となる中、核開発を事実上容認し技術も供与することになり、隣国の中国や韓国も含めた国際社会に「非常に悪いメッセージを与えてしまう」と語りました。

 福永氏は、インドが核実験を行った場合、日本政府が協定を終了するとしていることについて、一度使用された資機材の返還や、返還の際の賠償を国費で行うことの現実性は「非常に疑問だ」と強調。鈴木氏は、同様の場合「協定を破棄するという明文化が必要だ」と指摘しました。

 福永氏はまた、協定によって、インドに対して提供した核物質の再処理や濃縮が認められたのは重大な問題だと述べ、軍事転用を規制する内容は国際原子力機関(IAEA)の「保障措置」に頼っていると指摘。同措置ではインドの民生用の施設は査察できる一方、軍事用の施設を査察する権利はないことから、国際的な監視もなく原子力活動やプルトニウム濃縮などを行われかねないと指摘しました。

 日本共産党の笠井亮議員が国会への期待についてコメントを求めると、福永氏はインドで原発建設に非常に強い反対運動があることにふれ、「インドの人々の『原発を売るな』『事故を輸出するな』という声に耳を傾けてほしい」と訴えました。

 協定は必要との立場に立つ参考人の京都大学大学院の浅田正彦・法学研究科教授も「しっかりと審議をしてほしい」と求めました。

(「しんぶん赤旗」2017年5月5日より転載)