佐賀県玄海町の九州電力玄海原発から3キロ圏内で行われた「北部地区住民検診」の結果データを同町が隠蔽(いんぺい)していることが、玄海町議会や県議会での日本共産党の追及で明らかになりました。
(佐賀県・古賀誠)
佐賀・玄海町
北部地区住民検診は1973〜2010年に3キロ圏内の玄海町8地区・鎮西町1地区で行われました。1973年は九州電力が唐津東松浦医師会に委託。1974年以降は玄海町、鎮西町(唐津市合併前まで)が委託していました。
町「保有せず」
玄海町の岸本英雄町長は検診の目的を「住民を対象に諸疾患の早期発見と事後指導を行い予防対策を図る」と議会で答弁。
しかし、同医師会は検診の目的は「玄海町値賀(ちか)地区および鎮西町串地区の住居者の健康状態の推移について、医師会の医学的研究のため、当該地区住居者集団を対象に血液を含む健康状態に関する医師会独自の長期調査研究を実施するもの」と説明。住民を対象に放射能の影響調査を長期に実施していることが分かりました。
調査資料は九州電力に渡す一方、町民や県民に結果が明らかにされることはありませんでした。
日本共産党の藤浦皓玄海町議は昨年10月18日付で検診の結果を公開するよう町に請求。町は「公開請求があった公文書は存在しません」と回答し、要求資料とは違った「特定健康診査」の規定を理由に「保存期間5年を経過しているため保有していない」と述べました。
医師会が保管
ところが昨年12月14日の佐賀県原子力安全対策特別委員会が開かれた翌日に東唐津医師会の森永幸二会長が県の健康福祉部健康増進課を訪れ、調査結果は医師会が保管していると報告していたことが、2月28日の井上祐輔県議の請求資料から分かりました。
結果データを唯一保管している東松浦医師会は「結果データは玄海町の許可なしには公開できない」としています。
藤浦町議は「町が税金を2900万円以上使って住民の健康被害を調査したが、住民には知らせず、九州電力に情報をやるためだったのかと思うと怒りでいっぱいだ」と述べました。
玄海町に住む60代男性は「北部地区検診の問題は玄海町に住んでいる人でも知られていない。九電が始めたものに町がお金を出してきて町民に知らせないというのはあまりに異常」と話しました。
(「しんぶん赤旗」2017年4月6日より転載)