東京電力福島第1原発事故から7年目に入るのを前にして、日本共産党の岩渕友議員は9日、参院経済産業委員会で、東電の広瀬直己社長に“賠償打ち切り”の実態を突き付け、是正を迫りました。
岩渕氏は、原発事故で利益が減少したのに、避難区域外の事業者の59%が賠償請求したことがないという福島県商工会連合会のアンケートを提示。東電が事業者を門前払いしている事例があることも告発しました。
また、事故による減収分の2倍が賠償されるはずなのに、大部分は1倍に値切られるか全く支払われない実態を指摘。事業者が東電に電話すると「相談窓口はない」と回答されたことを指摘しました。
広瀬氏は、電話対応について「事実とすれば不適切だ」として改善を約束する一方、賠償額については「因果関係を認めることが困難な事例もある」と開き直りました。
事業者に対する賠償額は、当初見積もりより既に約1兆円超過しているにもかかわらず、政府は昨年12月の賠償見積もり額(全体で7・9兆円)が上限であるかのように発言しています。
岩渕氏が「上限ありきは許されない」と迫ったのに、世耕弘成経済産業相は「被害が続く限り賠償を続ける方針に変更はない」と述べました。岩渕氏は、政府が賠償費用を電気の託送料金に上乗せし、新電力も含め国民に負担させようとしていることを批判。株主や大銀行、原子炉メーカーにこそ負担を求めるべきだと主張しました。
(「しんぶん赤旗」2017年3月10日より転載)