東京電力福島第1原発の事故後の対応に従事した後、甲状腺がんを発症した東電社員の40代男性について、富岡労働基準監督署(福島県広野町)は12月16日、労災と認定しました。原発作業での放射線被ばくによる甲状腺がんの労災認定は初めて。
厚生労働省の有識者検討会は15日の会合で、放射線被ばくによる甲状腺がんの労災認定について、被ばく線量が100ミリシーベルト以上で、被ばくから発症まで5年以上などとする目安を初めて示しました。これに基づき、男性のがん発症と被ばくとの関連を認めました。
厚労省によると、男性は1992年に東電に入社後、20年間にわたり複数の原発で勤務。事故が起きた2011年3月〜12年4月は福島第1原発で原子炉の計器類の確認などの緊急作業に従事し、14年4月に甲状腺がんと診断されました。原発事故後の累積被ばく線量は139・12ミリシーベルトでした。
福島第1原発の事故後作業での労災認定は3件目で、これまでの2件はいずれも白血病についてでした。事故対応ではこれまでに11件の労災申請があり、うち3件は不支給が決定、1件は取り下げられ、4件が調査中です。
(「しんぶん赤旗」2016年12月18日より転載)