2017年度の概算要求におけるエネルギー対策特別会計(経済産業省分)は、16年度当初予算比で756億円増の9140億円です。うち優先課題推進枠が1624億円を占めます。
非炭素化に逆行
増額要求で目立つのが化石エネルギー関連です。海底の化石燃料メタンハイドレートを18年までに商業化することなどを目的に、新規に271億円を計上。「国内石油天然ガスにかかる地質調査・メタンハイドレートの研究開発等委託費」としています。
「石油天然ガスの探鉱・資産買収等事業に対する出資金」にも16年度比340億円増の900億円を要求しています。石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)を通じて、巨額かつリスクの高い石油・天然ガス開発分野に公的資金を供給し、日本企業の活動を支援する仕組みです。JOGMECを通じた日本企業による海外資源会社の買収支援にも、16年度補正予算案で1500億円を計上しています。
高効率石炭火力発電技術など次世代火力発電の技術開発に137億円(16年度比17億円増)を要求。日本製の火力発電を輸出するための「先進的な火力発電技術等の海外展開推進事業」として新規に32億円を求めています。
地球温暖化を防ぐため、温室効果ガス排出量の3分の2を占めるエネルギー部門の非炭素化が世界的な課題となっています。化石エネルギー関連の予算増額は世界の流れに逆行しています。
原発費用も計上
東京電力福島第1原発事故による放射能汚染物質の除染・中間貯蔵施設事業にも350億円を計上しています。本来東電が負担すべき費用を14年度から30年間にわたって毎年350億円ずつ負担していく計画です。
「原子炉の安全技術の強化等」として98億円(6・5億円増)を、高レベル放射性廃棄物の地層処分の技術開発として38億円(1・5億円増)を要求しています。
文部科学省は、破たんが明らかであり、不祥事も続出している高速増殖炉「もんじゅ」の維持管理費として199億円(14億円増)を求めています。
省エネルギー・再生可能エネルギー関連では、工場や事業場、住宅、ビルでの省エネルギー関連投資を促進するための「省エネルギー投資促進に向けた支援補助金」として1140億円(625億円増)を計上。福島県における再生可能エネルギーの導入のための支援事業費補助金として新規に100億円を求めています。
(つづく)
(「しんぶん赤旗」2016年9月17日より転載)