運転開始から12月で40年になる老朽原発、関西電力美浜原発3号機(福井県美浜町)について原子力規制委員会は8月3日、新規制基準に「適合した」とする審査書案を了承しました。40年を超えて運転延長をねらう原発では関電の高浜原発1、2号機に続き3基目です。
老朽原発は、運転中に機器などが劣化することによる危険性の増大や、設計や技術が古いなどの問題があります。原子炉等規制法では、原発の運転期間は原則40年ですが、規制委が認めれば最長20年延長できることになっており、実質何の歯止めにもなっていないことを改めて示しました。
審査では、基準地震動(原発で想定する地震の揺れ)の最大が993ガル(ガルは加速度の単位)と以前より大幅に引き上げられました。関電は、使用済み燃料プールのラックを固定式から置く方式に変更。この他に耐震補強などのため、炉内構造物の交換や格納容器の耐震補強工事を実施するとしています。
旧来の耐震評価の手法では、多くの機器で耐震性が不足することから、関電は異なる手法で評価を実施するとしています。耐震評価の妥当性を判断するために必要な試験は、関西電力高浜原発1、2号機と同様に後回しにされており、耐震補強などを実施した後に実機で行うとしています。
また、ケーブルは防火性能の不十分な素材が使われていますが、規制委はケーブルを防火シートで覆うなどとする関電の方針を了承しています。
関電は、工事全体で1650億円、工事完了予定は20年3月としています。
審査書案は一般からの意見募集を経て正式に決定されます。美浜3号機は、1976年12月に運転開始。設備の詳しい設計を定めた工事計画や運転延長の認可の期限は、今年11月中となります。
(「しんぶん赤旗」2016年8月4日より転載)