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伊方再稼働 知事の同意・・愛媛 住民無視の避難計画/市民団体や共産党 抗議

 愛媛県の中村時広知事は10月26日午前、県庁で四国電力の佐伯勇人社長と面会し、伊方(いかた)原発3号機(同県伊方町)の再稼働に同意すると伝えました。地元の市民団体などは「県民の声を無視した判断だ」と抗議の声を上げました。

新基準2側目

 伊方原発の再稼働については伊方町議会と山下和彦町長、県議会は既に同意を表明しています。新規制基準施行後、立地自治体と県が再嫁備に同意したのは九州電力川内原発(鹿児島県薩摩川内市)に次ぐ2ヵ所目。再稼働には他に、設備設計の詳細を記した「工事計画」などの認可が必要で、規制委で審査が続いており、再稼働は年明け以降の見通しとされています。

 中村知事は面会後に記者会見し、火力発電や再生可能エネルギーは原発に比ベコストや安定供給などの面で劣るなどと述べました。

 しかし、世論調査では県民の多数が再稼働に反対し、原発の安全性に根強い不安を持っています。知事は「いろいろな意見があるので、理解を頂けるよう情報を届けていきたい」と話しましたが、市民団体が求めている公開討論会なども開いていません。

 伊方原発は佐田岬半島の付け根にあり、避難計画が必要な半径30キロ圏に約12万人が住んでいます。半島の約5000人は事故が起きた場合、半島先端の港から船で大分県などに避難したり、風向きによっては原発の前を通り内陸部に避難する計画で、住民の間では「非現実的だ」と実効性が疑問視されています。また、使用済み核燃料の処分などが決まっていないなど問題が山積したままです。

 四電は2013年7月、伊方3号機の審査を申請。原子力規制委員会は今年7月、新規制基準に「適合する」と判断。3号機は使用済み核燃料から取り出したプルトニウムを混ぜたウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)燃料を使用。2011年4月から定期検査で停止しています。

住民無視の避難計画/市民団体や共産党 抗議

田中県議ら宣伝

 中村時広愛媛県知事の伊方原発再稼働同意を受け、日本共産党中予地区委員会は10月26日昼、松山市一番町の商店街で抗議の宣伝行動を行いました。田中克彦県議は「まだあきらめることはありません。再稼働許すなの声を大きく上げ、原発に頼らない愛媛、日本をつくるために頑張ろう」と呼びかけました。

 植木正勝委員長ら5人が参加しました。田中県議は、伊方原発事故時の避難計画の実効性に大きな問題があることなどを示し、「再稼働には重大な問題が解決していない」と指摘。「原発で事故が起きれば、いくら『責任を取る』と言っても誰も責任を取れない。日本共産党は引き続き、草の根から原発の危険性を訴え、再稼働を許さないため全力を尽くします」と述べました。

愛媛「とめる会」

 愛媛県の「伊方原発をとめる会」などは10月26日朝、中村時広知事に伊方原発の再稼働を認めない決断を求め、県庁前で宣伝しました。約30人が歩道に並び、「知事は再稼働を認めるな」「再稼働許さん」と書いた横断幕などを掲げました。

 高知県から「グリーン市民ネットワーク高知」も駆けつけました。日本共産党の田中克彦県議と、小崎愛子、杉村千栄両松山市議が参加しました。

 とめる会の和田宰事務局次長、須藤昭男、松浦秀人共同代表、伊方原発をなくす愛媛県民連の中尾寛事務局長、伊方原発とめまっしょい若者連合の大嶋慶太氏らがリレートーク。「県民のくらし、安全を守るのが知事の使命だ。知事が伊方原発を止めようと思えば止めることができる。知事はいまこそ、再稼働を認めない決断をすべきだ」と訴えました。

 とめる会は同日、中村知事の再稼働同意に抗議し、撤回を求める声明を発表しました。

高知県民連絡会

 「原発をなくし、自然エネルギーを推進する高知県民連絡会」は10月26日、高知県庁で記者会見し、伊方原発の再稼働を行わないよう求めました。

 徳弘嘉孝共同代表は愛媛県の中村時広知事が再稼働に同意したことを批判し、「伊方原発再稼働に反対し、今後も運動を続けていきたい」と話しました。

 山崎秀一共同代表は、福島原発事故後、四国では電力供給に支障が無く、今夏は余裕電力量が11%だったとし、「県民も納得しておらず、再稼働しないといけない理由はない」と訴えました。

 記者会見後、四国電力高知支店に再稼働は認められないと申し入れるとともに、高知県庁に公式な態度表明を求めて申し入れました。

(写真)知事に再稼働を認めないよう求めて宣伝する、とめる会などの人たち=10月26日、愛媛県庁前
(写真)知事に再稼働を認めないよう求めて宣伝する、とめる会などの人たち=10月26日、愛媛県庁前

(「しんぶん赤旗」2015年10月27日より転載)