国と東京電力に原状回復と損害賠償を求めた生業(なりわい)訴訟の第13回口頭弁論が福島地裁(金澤秀樹裁判長)で7月21日開かれました。前回の口頭弁論で原告側の証人として陳述した地震・津波研究の第一人者で元東大地震研究所准教授の都司嘉宣(つじ・よしのぶ)氏への反対尋問が行われました。
都司氏は前回、2002年7月に国の地震調査研究推進本部が発表した「長期評価」で明治三陸地震(1896年)と同様の津波が三陸沖から房総沖にかけて発生する可能性があるとした内容の重要性を踏まえ、今回のような事故が起きうることを予見し、事故を回避することが可能だったと証言していました。
この日、反対尋問した国と東電は、「長期評価」の信用性などについて質問しました。しかし、都司氏は「『長期評価』は無視できない。これを取りこんでやっていたのならば予見することはできた」と述べ、改めて国と東電の責任を問いました。
次回口頭弁論は、リスク認識の専門家、中谷内一也・同志社大教授が原告側証人として陳述します。原告側証人として5人目。原発事故のもたらした不安感を被害者はどう受け止め、認識してきたかについて立証します。
(「しんぶん赤旗」2015年7月22日より転載)