「『オー! ジャニーズメイドさん』と振り向いてくれるのかなと期待したのですが、声はかかりませんでした」。4月27日から5月22日までニューヨークの国連本部で開催された核不拡散条約(NPT)再検討会議に参加した福島県原水協事務局員の庄司正樹さん(27)。メイド姿のコスプレでアピールしました。「自分しかできないことでパフォーマンスを最大限に引き出したかった」からです。
ニューヨークの街でスマートフォンを使って対話を試みるものの「4、5人とたどたどしく対話できた程度。メイド姿だからといって振り向いてくれなかった。アメリカはそれほど甘くない」
原水協の事務局員になって5年になります。
■祖父母避難渋り
「80歳を超えたおじいちゃんとおばあちゃん」は、飯舘村で稲作と、牛を飼い、暮らしてきました。4年前、原発事故で全村避難となりましたが、「おじいちゃんとおばあちゃん」は、避難するのを渋りました。
息子たちに説得されて2011年の6月になって避難。福島市内にアパートを借りて暮らしています。
「元気なうちに飯舘村に帰れればいいのですが無理です。おじいちゃんおばあちゃんは何も悪くない」と、うつむきます。
高校卒業後、コンピューターなど情報通信を教える専門学校で3年間学びました。この時の友人からコスプレすることを誘われ、やみつきになりました。
卒業後、仕事に就けない「ニート」でした。母親のつてで原水協でアルバイトをすることになりました。でも、自立して生活するには困難です。彼女がいます。「結婚したいのですが、この収入ではできません。やりがいはありますが、私で良いのか」とも悩みます。
専門学校で習得したプログラミング作成の技術を生かして原水協のメッセージを世界へ、全国へと発信できればいいのではないかと思っています。
■広島で衝撃受け
2010年夏。原水協でアルバイトを始めたときに広島を訪れて衝撃を受けました。被爆者への差別、親よりも先に亡くなった娘の話をした被爆者─。「これってやばいな。核兵器の恐ろしさをもっと知ってもらわないといけない」
8月、広島・長崎で開かれる世界大会に福島から60人の代表を派遣するために活動しています。
「核兵器をなくすために私ががんばる。原発ゼロと核兵器廃絶と結びつけたアピールの仕方が必要になっている。アピール力を上げて、自分しかできないことをしたい」と思っています。
(菅野尚夫)
(「しんぶん赤旗」2015年7月5日より転載)