日本共産党の藤野保史議員は5月28日の衆院原子力問題調査特別委員会で、原子力発電所の新規制基準適合性における「経理的基礎」(コスト負担能力)の審査について質問しました。
藤野氏は、原子力規制委員会の経理的基礎の審査対象があまりにも狭く、福島原発事故後、新たに必要とされている「電源」「冷却ポンプ」「注水設備」「緊急時制御室」などのバックアップ機能を持った「特定重大事故等対処施設」の審査もヒアリングもしていないことを指摘。同対処施設工事の申請を行っている関西電力高浜原発3号機・4号機の工事費は691億円と巨額で、審査が済んでいる重大事故対策の設備工事費1090億円の約7割に達すると述べ、この経理的審査はいまだ行われておらず、審査すべきだと主張しました。
原子力規制委員会は27日に九州電力川内原発1号機・2号機の再稼働に向け、重大事故時の手順や体制などを定めた「保安規定」を認可しましたが、同原発の場合、特定重大事故対処施設の工事は申請もされていないため、経理的審査も行われていません。
藤野氏は、事故の際の賠償能力を含めた経理的基礎も厳格に審査すべきだと主張。「審査しないなかで再稼働など認められない」と厳しく指摘しました。
原子力規制委の田中俊一委員長は「見直しも検討されており担保されるべきだ」と答えました。
(「しんぶん赤旗」2015年5月29日より転載)