東京電力福島第1原発の高濃度の放射能汚染水が入ったタンクの底近くで水たまりが見つかった問題で、当該タンクで2年前に漏えいの疑いが発覚して使用を中止するなど東電として危険性を認識していながら、漏えいしたと確定されていないことを理由に先月18日に使用を再開していたことが5月2日、東電への取材でわかりました。
問題のタンクは、ボルトで鋼板を締める簡易型。同タイプのタンクからの汚染水漏れが問題になって総点検を実施した2013年8月、タンク底部で高い放射線量が確認されました。そのため水抜き・隔離し、空のまま保管していました。
東電によると、今年4月18日、同じタンク群にためられていた汚染水を多核種除去設備(ALPS)で処理する際、連結された別のタンクの水を移送するには当該タンクを経由する必要があったとして、連結弁を開いて移送を実施。その後、5月1日にタンク底部付近で水たまりが発見され、東電はタンクから漏えいしたと推定しています。
東電は、当該タンクを再使用しても大丈夫だと判断した理由について「このタンクから漏れたと判明しているわけではないから」と説明。漏えいの危険性を過小評価していたことがわかりました。一方、東電によると、規制当局から再使用の了解を得ていたかは現時点では不明。原子力規制庁側は担当者が不在で答えられないとしています。
当該タンク底部では13年8月の総点検で1時間当たり100ミリシーベルトという高い放射線量を計測。同年3月に採取したタンク内の汚染水からは全ベータ(ストロンチウム90などベータ線を出す放射性物質)が1リットル当たり2・4億ベクレル検出されています。
(「しんぶん赤旗」2015年5月3日より転載)