原発再稼働の前提となる原子力規制委員会の審査について、火山の危険性が十分評価されていないという指摘が続いています。日本で原発がいかに危険かについて、火山学者の守屋以智雄(いちお)・金沢大学名誉教授に聞きました。
(聞き手 柴田善太)
──日本は地理的にみてどういう地域ですか。
世界には北米中東部、豪州中西部、ロシア中西部のように火山、地震がない場所もありますが、日本は世界の地震の約1割がその周辺で起こる地震国であるとともに、火山も約300、そのうち活火山が100を超える火山国です。
火山は大別すると、中心火口からの噴出物が積み重なってできた円すい形の成層火山と、直径10キロメートル以上の巨大噴火の痕跡を持つカルデラ火山になります。
巨大噴火はカルデラ火山に特有のものです。日本にある12のうち6つ(九重、
阿蘇、加久藤・小林、始良〈あいら〉、阿多、鬼界)が川内原発(鹿児島県)のある九州に集中しています。日本で最新の巨大噴火は7300年前、縄文早期の鬼界噴火で、熱雲状のアカホヤ火山灰が日本全域に飛散し、この火山灰の層の上下で土器文化が一変しており、下位の土器文化の住民が全滅したことを暗示しています。
──噴火が起こったら原発はどうなりますか。
巨大噴火の場合、火砕流の厚さは最大300メートルほどになります。原子炉も火砕流にのみ込まれ、そこで核燃料が溶けて大爆発を起こし、世界中に放射能をまき散らすことになります。
九州6カルデラのうち1つが巨大噴火すれば九州の川内、玄海原発、四国の伊
方原発は破壊され、西南日本全体が放射能汚染で立ち入り禁止になります。
放射能が成層圏まで達すると、“死の灰”を世界中に降らせることになります。
使用済み核燃料などの“核のごみ”を地中深くに埋める地層処分が検討されていますが、日本に地震と火山の影響を受けず安定的に保管できる場所はありません。この危険性も重大です。
(つづく)
(「しんぶん赤旗」2014年6月16日より転載)