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原発セールスの価値観・・(利元克巳・広島マスコミ9条の会)

6月22日の中国放送「報道特集」(TBS系)は、安倍晋三首相が東欧4カ国への原発トップセールスに向かった状況を追った。おもに取り上げたのはポーランドについてだった。

ポーランドはこれまで原発を持っていなかったが、1980年代に原発建設に着手したことがある。6割ほど進んだところで、旧ソ連のチェルノブイリ事故が起きて建設を中止した。いまは放置されている。ここが原発建設の有力な候補地にあげられている。キャスターの金平茂紀氏が、足を踏み入れて取材。廃墟となった様子を生々しく伝える。番組は、ポーランドが原発建設へ踏み切った理由を、ロシアの天然ガス依存からの脱却だという。

原発建設の別の候補地の町長は「国にも町にとっても経済的メリットがある。住民も60~70%は反対していない」と語る。しかし、観光客の反応に話が及ぶと原発への複雑な心境を語った。

候補地のもう一つの村の住民は「原発ができると観光業は成り立たない」と拒絶。住民投票でも95%が「NO(ノー)」だった。

日本政府が原発輸出をねらう各国からNGO(非政府組織)の人々が来日。次のような厳しい声をあげている。

「原発事故を経験した日本が原発を輸出するのは倫理に反する」(トルコ)、「唯一の被爆国が原発を輸出するのは悲しい。利益を得るのはごく一部の企業」(インド)。

福島第1原発では、収束作業は進まず、汚染水が地下水を通して海までも汚している。番組でも指摘していたが、ポーランドなどにこういった事実が説明されているのだろうか。「過去のことは後世の歴史家に任せれば良い」。これが歴史認識問題に対する安倍首相の価値観だとすれば、福島原発事故の問題もトップセールスの問題も後世に譲り、「成長戦略」を追求することが価値観だろうか。(としもと・かつみ 広島マスコミ9条の会)

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