【ソウル=時事】東京電力福島第1原発の汚染水漏れ問題を受け、韓国政府は9月6日、福島など8県の水産物の輸入を9日から全面禁止すると発表しました。
韓国はこれまで8県の50種の水産物の輸入を禁止していましたが、汚染水問題で日本産に加え韓国の一部水産物の売り上げが激減するなど影響が出ていることから、厳しい措置に踏み切りました。対象はほかに青森、岩手、宮城、群馬、栃木、茨城、千葉の各県。
韓国政府当局者は「最近、原発事故現場で毎日数百トンの汚染水が海に流れていることに対し、国民が強く懸念している」と強調。「日本政府がこれまで提供した資料だけでは事態の正確な予測が難しい」と述べ、日本にさらなる情報提供を求める考えを示しました。
8県以外の水産物などについても、放射性セシウムが微量でも検出された場合、別の放射性物質に汚染されていないことを示す証明書の提出を求めるなど規制を強めます。また韓国産食品に関しても放射能の検査基準を強化します。ただ、原発事故後、日本の水産物の流通は既に大幅に減っており、今回の措置の韓国での影響は小さいとの見方が強くあります。
国は正確な情報発信を・・佐藤福島知事が求める
韓国が福島第1原発の汚染水漏れ問題を受け、8県の水産物輸入全面禁止を発表したことについて、福島県の佐藤雄平知事は6日の記者会見で「試験操業の延期、中止などにより(福島県の)海産物は流通していない」と説明しました。その上で「国もしっかり正確な情報を伝え不安や風評の払拭(ふっしょく)に努めていただきたい」と強調、海外などへ正確に情報発信するよう国に求めました。
佐藤知事は「私自身も韓国に行き県の状況をしっかり訴えてきたつもりだ。その先が見えていないのが現状だ」と述べ、県産品の風評被害が続く現状に危機感をあらわにしました。
青森県の三村申吾知事が同日の記者会見で「水産物のモニタリングはしっかりしており情報発信もしている」と述べ、岩手県の達増拓也知事は記者団に「品目や場所ごとにきちっと検査し安全を確保している」と水産物の安全性をアピールしました。
宮城県の村井嘉活知事も同日、県庁内で記者団に「大変残念。過剰に反応しすぎではないか」と述べた上で、「県としては、(仙台市の)韓国総領事館に対し海産物の安心、安全を伝えたい」と語りました。