日本共産党の岩渕友議員は19日の参院予算委員会で、東京電力福島第1原発事故から13年が経過し、多くの人がふるさとを奪われる中、同原発で昨年10月の汚染水による作業員の被ばく、今年2月の汚染水漏れとトラブルが相次いでいると指摘し、昨年8月に強行された汚染水(アルプス処理水)の海洋放出は漁業者との約束を破るもので凍結を求めるとともに、福島県民だけでなく国民的な議論を行うよう求めました。
岩渕氏は、国と東電が海洋放出の前提を「想定外の事態」を起こさないことだとしながら「今回の汚染水漏れはまさに、漁業者や福島県民の復興の努力を台無しにする重大な事態だ」と批判しました。
岩渕氏は海洋放出に漁業者や福島県民から怒りの声が上がっているとして、水産物の輸出実態を問いました。水産庁の森健長官は「中国向け水産物が前年比29・9%減だ」と明らかにしました。
さらに、海洋放出による損害賠償の実績をただすと、東電の小早川智明社長は「請求書発送が940件、支払い件数が50件で53億円だ」と答弁しました。
「できるだけ迅速かつ適切に賠償する」と述べた小早川氏に対し、岩渕氏は「復興の軌道に乗り始めたときの海洋放出。精神的な賠償もしてほしい」「ホタテの賠償が遅い」など漁業者からの訴えを示し、「切実な訴えだ。このような思いをどう受け止めるか問われている」と強調。小早川氏は「被害者の個別の事情に寄り添い対応する」と述べるにとどまりました。
岩渕氏は、地元の住民や研究者らでつくる福島円卓会議が「処理水」処分のあり方や復興と廃炉の両立について、県民や国民と、国や東電が対等に対話する場が必要だと呼び掛けていると指摘。「国と東電が勝手に決めるのではなく、海洋放出を凍結し廃炉、復興のあり方について議論を行うことを求める」と迫りました。
(「しんぶん赤旗」2024年3月21日より転載)