参院での審議が最終盤となっている原発推進等5法案について国際環境NGO「FoE Japan」など市民団体は29日、「多くの問題点がある。審議がつくされたとはいえない」と、国会内で共同会見を開きました。
同事務局長の満田夏花(かんな)氏は、同法案で60年を超える原発の運転が可能になるのに、老朽原発の審査手法の内容が具体的に示されていないことなどを挙げ、「徹底的に審議を尽くすべきだ」と強調しました。
NPO法人・原子力資料情報室事務局長の松久保肇氏は、参院経済産業委員会で可決されようとしていることに「強い憤りを持つ」と発言。法案は福島原発事故の教訓をないがしろにし、全く脱炭素に役立たないことに時間とコストを投じる無責任さがあると指摘しました。
NPO法人・気候ネットワーク東京事務所長の桃井貴子氏は、気候変動対策を理由に岸田自公政権は原発を推進しようとしているが、「対策に全くならない」と強調。安全性が高くコストが安いなど未来の電源は再エネであり、法案は「政府全体として気候変動対策に前向きに取り組む気がないと表明したもの」と批判しました。
同法案で福島での地方公聴会開催を求めていた福島大学名誉教授の今野順夫氏は、「事故がなかったかのように回帰の方向。通してはいけない法案だ」と述べました。
「Fridays For Future (未来のための金曜日)Japan」の田原美優氏は、脱炭素のために原発が必要だというストーリーによって「公正な社会の実現が遠のいている」として、法案に反対だと述べました。
(「しんぶん赤旗」2023年5月30日より転載)