原子力発電所の運転期間を原則40年から60年超に延長する電気事業法等改定案が30日の衆院本会議で審議入りしました。同改定案は、電気事業法と原子炉等規制法、再生可能エネルギー特別措置法、使用済み核燃料再処理法、原子力基本法の各改定案を一本化した「束ね法案」で、原発を最大限活用する方針への大転換を狙うものです。
日本共産党の笠井亮議員は同法案について、脱炭素やロシアのウクライナ侵略に伴うエネルギー危機を口実に原発回帰へと大転換するものだと指摘。「再生可能エネルギーこそ、エネルギー安定供給と自給率向上に大きな力だ」として、原発ゼロ決断を強く求めました。
また笠井氏は、原子力基本法を改定し、新たに原子力を利用する「国の責務」をかかげ、新規建設など将来にわたる原発活用のための法的枠組みをつくろうとしていることは重大問題だと批判。「安全神話に陥り福島原発事故を防げなかったことを真摯(しんし)に反省としながら、原発を最大限活用することほど矛盾したことはない」と述べました。
さらに笠井氏は、原発の運転期間ルールを原子炉等規制法から、推進側が所管する電気事業法に移すとしていることをあげ「60年超の運転延長を認めれば、原発のリスクを高めることは明らかだ」と指摘しました。
岸田文雄首相は「歴史上初の世界エネルギー危機ともいわれる状況に直面する中で、気候変動対策とエネルギーの安定供給体制構築が最重要の国家課題だ」などと原発回帰を正当化しました。
(「しんぶん赤旗」2023年3月31日より転載)