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避難者区別するな 「強制」「自主」 同等の権利・・福島原発事故 国連報告者会見

会見するセシリア・ヒメネス・ダマリー氏=7日、東京都千代田区

 東京電力福島第1原発事故の避難者の状況について先月から訪日調査していた国連のセシリア・ヒメネス・ダマリー特別報告者(国内避難民の人権担当)が10月7日、東京都内の日本記者クラブの会見で調査終了について報告しました。

 同氏は調査のまとめとして、原発事故で避難を指示された強制避難か指示区域外の避難(いわゆる「自主避難」)かを問わず、「他の日本国民と同等の権利・権限を有する」として、「支援や援助を受ける上での強制避難や自主避難の区別は取り除くべきである」と述べました。最終報告書は来年6月、国連の人権理事会で発表します。

 ヒメネス・ダマリー氏は今回の報告書について、避難者の権利をどう守っていくかに焦点を当てたと説明。避難者が自らの将来を決めるための支援が減り、帰還を求める方向に移っているとして、帰還しない人が支援の打ち切りに直面しているなどと指摘しています。その上で安全・安心、家族生活、暮らし、健康などについて提言。住宅の支援の多くが打ち切られ、立ち退き訴訟に直面している避難者がいるとして、貧困層や高齢者、障害者などの脆弱(ぜいじゃく)な避難者に住宅支援策の再開を推奨しています。

 質疑応答で同氏は、避難者の正確な数が明確でないのは解決すべきだと述べました。

 同氏は強制移住などの分野の弁護士。2016年に国連人権理事会で国内避難民の人権担当特別報告者に任命されました。訪日調査は9月26日から行われ、政府関係者や避難による被害者、福島県の地域社会、市民団体、専門家などと面会し、災害による避難者の保護や支援などに関する法制度を検討したといいます。

(「しんぶん赤旗」2022年10月08日より転載)