ロシア軍がウクライナ北部にあるチェルノブイリ原発を占拠した問題について、野口邦和・元日本大学准教授(放射線防護学)に聞きました。
1986年に起きた世界最悪の原発事故から36年たちますが、核燃料などが存在する施設を外国の軍隊が原発スタッフを人質にとって公然と占拠したのは歴史上初めてです。
事故が起きた原子炉は4基のうちの4号炉です。核燃料などが事故時のままになっており、「石棺」と呼ばれるシェルターに覆われた状態で管理されています。
仮に占拠中に放射性物質が漏れ出たりするような事態になれば、周辺の住民や近隣諸国へ不安を与え、世界中から非難を浴びることになります。
ロシアに悪影響を与えるものでもなく、近づけば放射線量も高いので、占拠しても何の利益もない施設です。占拠の目的は分かりませんが、戦略的に有利になるというよりも、かえって国際的な批判を強めるだけではないでしょうか。
(「しんぶん赤旗」2022年2月26日より転載)