【ベルリン=桑野白馬】ドイツのメルケル首相は22日、記者会見で、2011年の東京電力福島第1原発事故を受けて決断した22年末までの脱原発政策について「正しかった」と述べ、原発廃炉の方針は揺るがないとの姿勢を示しました。
ドイツでは今月、記録的豪雨による洪水で甚大な被害が出ました。異常気象の原因とされる気候変動への対策が国内でいっそう注目されているなかでの発言です。
メルケル氏は原発について「持続可能なエネルギーではない」と強調し、9月の総選挙を念頭に「将来の政府が(脱原発を)撤回することはないだろう」と述べました。気候変動対策について「現状の勢いでは足りない。もっと速く進まなければならない」と指摘しました。
ロシア産天然ガスをドイツに輸送するパイプライン「ノルドストリーム2」建設について、米国が前日、事実上認めました。メルケル氏はこれについて「ここまで達成されたことをうれしく思う」と表明。ロシア側と政治的行動の基盤となる価値観が異なっても「対話を続けることに常に関心を持つべきだと考えている」と話しました。
(「しんぶん赤旗」2021年7月24日より転載)