日本共産党の小池晃書記局長は12日、国会内で記者会見し、政府が13日にも決定する東京電力福島第1原発事故に伴う汚染水の海洋放出への地元の強い反対の声を示し、「まさに民主主義国家にあるまじき強権政治と言わなければならない」と厳しく批判しました。
小池氏は、全漁連、福島県漁連が反対し、同県議会や県内7割の43市町村議会が反対や慎重対応の意見書を採択し、政府と東電が関係者の理解なしに汚染水のいかなる処分も行わないと文書回答(2015年8月)しているのに、菅義偉首相が両漁連会長と20分間懇談しただけで海洋放出を決めるのは「本当にひどい対応だ」と重ねて批判しました。
その上で、「福島の復興、生業(なりわい)の再生は10年たっても道半ばだ。海洋放出の強行は、県民の懸命な努力を無にし、震災・大不漁・コロナの三重苦に大打撃を与えるものだ」と強調。海洋放出を狙う処理水の7割が放射線量の基準値を超え、基準値の1万9900倍に上る水もあり、トリチウム以外の放射性物質も残留しているとされており、「溶け落ちた核燃料=デブリの冷却のために、今後も大量の汚染水を海に流すことになると、福島のみならず東北の沿岸漁業に従事する方はみんな強く危惧している」と訴えました。
小池氏は、菅首相もずさんな安全管理が露呈した東電には「原発を扱う資格にまで疑問を持たれても仕方がない」と述べたことに言及。「東電がいくら安心だと言っても、到底理解と納得は得られない」として、「これだけの反対や異論、懸念がある中で汚染水の海洋放出を決すべきではない。陸上保管を続け、その間に世界の英知を結集し解決を図るべきだ。早急な海洋放出の方針決定には断固反対する」と表明しました。
(「しんぶん赤旗」2021年4月13日より転載)